マーチングフリーマガジン|Laundry day! vol.3|

前の東京オリンピックのころに 「藤沢市立本町小学校トランペット 鼓隊」として発足したのが始まりで した。当時の鼓笛隊は笛中心で、 小学生のトランペット鼓隊は珍し かったんです。すごく人気があって、 週末には色々なところで本番があり ました。当時は学校の先生方で運 営されていました。今でいう“先生方 の働き方の見直し”や、私の弟(西 貝和男氏)がPTA会長をしていたこ ともあって、学校と地域で話し合い、 検討した結果、生涯学習の一環と して1994年4月に「地域バンド: 湘南ドルフィンズ」(以後:ドルフィン ズ)として再編成し、私が代表に就 任しました。 地域バンドですから、地域の方々 とのつながりやボランティアによって 支えられています。2008年に全国 大会に行くようになってからは湘南 地区外からの参加も多くなり、現在 は約70名で活動しています。 地域バンドにするときに、楽器をど うするかが問題になりました。最初は、 学校から楽器を借りて活動していま した。週末の練習や本番が終わっ たら学校に戻さなくてはいけないの で、月曜日早朝に学校に楽器を戻し ていました。2年間くらい経って、バン ドで楽器を購入しました。バッテリー は新品を買って、金管楽器は中古の ものを探して購入しました。私の弟の お店「ライブハウスクラジャ(」以後: クラジャ)の上の事務所を楽器倉庫 として使わせてもらっています。 ウチは「日本一ゆるいバンド」を目 指しています(笑)練習は自由参加 が基本です。遅刻も早退もありませ ん。それでもちゃんと、自然に揃って いますね(笑)基本は週末の土日練 みには、外で大人がバーベキューを したり、中で子ども達が遊んだりし て、交流の中心地となっています。 こうした活動拠点があるのが、ドル フィンズの特徴だと思います。 ●周りの人に無理をさせない 無理をすると、必ずトラブルが起 きます。無理をすると続きません。無 理は絶対にしないことです。しかし、 全員に対して「無理をするな」と言っ ているのではありません“。中心となる 人だけ”は無理をすることはあります ね。みんなが“うまくいく”ように“、うま く回る”ように、多少無理をすること はあると思います。全体に無理をさ せない、周りの人には無理をさせな い、という意味です。 習のみです。いつも秋葉台文化体育 館の広場や卸売市場の一角、本町 小学校などの屋外で9:00~15:30 まで練習をしています。水曜日の夕 方(16:30~18:30)は「クラジャ」を 開けています。自由参加で練習し たい子達が来て練習しています。お しゃべりして帰る子もいますよ(笑) 合宿は、昔はしていましたが、今は していません。夏休みに一泊二日 で、親睦を深めるための“おとまり会” はしています。 ドルフィンズの拠点となる場所が 「クラジャ」です。ここは、練習場所 でもありますが、交流する場所でもあ ります。水曜日などは、子ども達が練 習をしている横で保護者も来てお茶 したり、練習をみたりしています。夏休 ●メンバー(子ども達)に 無理をさせない メンバーの成長をみながら、適切 な指導を行うという意味です。初心 者に最初から高度なことを求めても できないに決まっています。メンバー のスキルや経験値、状況に合わせ た指導を行うということです。例え ば、4月に初めて楽器を持った子に は、7月までに“ソの音”が、8月までに “高いド”の音が出るようになってい ればいいというように、指導者には 「成長や指導の見通し」を持って指 導にあたってほしいと考えています。 指導者は重要ですね。 ●保護者に無理をさせない 以前は保護者会や係をつくって いましたが、20年くらい前からつくる ことを止めました。保護者に無理を させてしまうことが多かったからです。 この点で言えば「団費」もそうです。 費用をかけないように、経費をかけな いような方法を探しています。ウチは 兄弟でドルフィンズに入ってくる子も 多いです。兄弟二人合わせても、月 の団費が5000円を超えないよう にしています。無理をしては続きま せん。さまざまな面で“、無理をしない・ させない”ように気をつけています。 パートリーダーとか、部長のような 役割はつくらないようにしています。以 前はつくっていましたが、止めました。 子ども達がそれぞれに考えて、動ける ようになって欲しいと考えています。 3月から5月までは引き継ぎ期間と しています。最初はあまり動けないこ ともありますが、だんだんそれぞれが 考えて動けるようになってきますね。 6年生には1年間に2~3回は 本番でマイクを持って話す機会をつ くっています。本番前にこちらで原 稿をつくって6年生に「自分達で、誰 が話すか、どのようにするか、考えて やってね」と伝えて渡すんです。する と自分達でちゃんとやりますよ。子ど も達の姿に、こちらが驚かされること もよくあります。大会だけではダメで すね。いろんな経験を通して成長し ていくんですよね。 マーチングをやっていた時間や経験 が、「宝物」になってほしいと思ってい ます。自分の生きてきた時間の中で、 “マーチングの経験”や”努力した時 間”が原動力になってほしい。「生きる 力」になるといいな、と思っています。 また、マーチングがもっと広まると いいですね。もっと少ない人でも楽 しめるように、取り組めるようになっ て欲しいですね。みんなアマチュア なんだから“、楽しむ”というのが大切 ですよね。大編成のパフォーマンス も良いけれども、小編成のパフォー マンスも良い。それぞれに良さがある と思うんです。大会の結果云々では なくて、マーチングの楽しさが広がる といいですね。 「無理をしない」「5年くらい続けて いくと、理解者や協力してくださる方 が増えてくる。続けることですね。」 「日本一ゆるいバンドを目指していま す」自然体で柔らかな姿勢が印象 的だった。代表である西貝成一氏は 言わずもがな、事務局の西貝和男 氏をはじめとする地域の方々の理解 や協力によって豊かな活動が継続 できていることが感じられたインタ ビューであった。 Text : Satoshi Moromi チーム立ち上がりの経緯を 教えてください。 楽器などは どのように用意しましたか? 練習などは どのようにしていますか? 湘南ドルフィンズの拠点 「ライブハウスクラジャ」 子ども達の成長の為に どのような工夫をしていますか? 読者の皆様に伝えたいことは ありますか? 「チームをつくりたい」と 相談されたら、 どのように答えますか? 前身の小学校鼓笛隊を再編成してできた 地域バンドの「湘南ドルフィンズ」。 再編成当初より30年以上代表を勤めている 西貝成一氏の言葉は「地域バンドの在り方」の 示唆に富んでいた。 2ND director | SEIICHI NISHIGAI バンドディレ クター特集 マーチングの経験が 宝物になってほしい 1950年生まれ。 藤沢市立第一中学校でトランペットを始める。 大学より、プロのトランペッターとして ビックバンドを始めとした様々な現場を経験。 1994年より湘南ドルフィンズ代表を歴任。元公務員。 西貝 成一Seiichi Nishigai 〈湘南ドルフィンズ HP〉

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